21Dec
日赤の救命救急員の資格を持っていた私は、(運動指導の現場では、応急処置方法を身につけておくことが求められます。一通りの応急処置方法を身につけています。)資格を取得してから不思議と事故現場に遭遇することが多くなりました。
今日も帰り道、夜の新宿駅の階段下で人が倒れている現場に遭遇しました。
すぐに駆け寄りました。
頭から流血 周りの女性の手にも血液が
傷病者(怪我した人のことを指します)は、どうやら階段から落ちたようで頭から出血していました。
意識もあるけど、あまり話せない様子。
幸いにも、周りにいた方が警察官や救急車の手配もしているみたいでした。
安心して現場から立ち去ろうとしたら、近くにいた女性の手を見ると・・・傷病者のものと思われる血液がついてました!!!
「触ったの?!すぐに洗ってください!!」
と言っても
「あ、大丈夫ですから。」とのこと。
違う!違うんです!!大丈夫じゃないんです!!!!
出血した本人以外は、血液を触ってはいけない
これは応急処置の鉄則なのですが、出血したときは出血した本人以外は血液を触ってはいけないのです。
なぜならば、感染症の恐れがあるからです。
きっと血液を触ってしまった女性は手が汚れるのは大丈夫と思ったかもしれません。
優しい人だったのかもしれません。
でも
「すぐに洗ってください!感染症の危険があるから!」と言っても
「いえ、大丈夫です」と平気な様子。
そばにいた人も
「この人、何言ってるの?」という反応でした。伝える力がなかったのが、悔やみきれません。
家族でも触ってはいけない血液
この情報を知らない人からしたら、私がただの潔癖症にしか見えないかもしれないのですが、
家族でさえ、血液は触ってはいけないのです。
「自分の子供の血ぐらい大丈夫。」と、子供の血液を触ってしまう方もおられるかもしれませんが、子供だろうが親だろうが、絶対に触ってはいけません。
傷病者が感染症を持って無いなんて検査するまで、言い切れないからです。
本人さえ気付かないうちに感染している可能性もあります。
応急処置で触った人も、小さい切り傷があったりすると(ぼんやりとした記憶ですが、人は気付かない小さい小さい切り傷やすり傷をたくさんしてると聞きました。)、そこに感染した血液が入り込む可能性があります。
危険です。
危険!血液を介して感染る病気
血液感染する病気の代表はB型肝炎・C型肝炎・後天性免疫不全症候群(HIV)・梅毒などです。
感染経路は、羊水や母乳よりも血液が最も感染リスクが高いのです。
だから、出血した本人以外は血液を触ってはいけないのです。
出血した際はビニール手袋などで止血・掃除を
出血してしまった時は、ビニール手袋を被せた上で止血を行なってください。周りに落ちた血液を掃除する時もです。応急処置の現場でビニール手袋がない時は、ビニール袋などでも代用可能ですが、穴が空いてない綺麗なものを使ってください。
ビニール手袋は安いので、家の救急箱に一つでも入れておくことをおすすめします。年末の掃除にも使えますし、一つでもあると安心です。
もちろん、使ったビニール手袋は捨ててください。処置後はしっかり手洗いも行なってください。
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血液がついた時は、すぐに流水をしてください
もし触ってしまった場合はすぐに水で流してください。
健康な皮膚の状態だとすぐに石鹸と流水で洗えばかなり感染率は低くなります。消毒は次亜塩素酸ナトリウム溶液か消毒用アルコールを使えば感染力を下げてくれます。
誤解しないでいただきたいのですが、血液を触っただけで感染するのではありません。血液と粘膜の接触が危ないのであって健康な皮膚から感染することはほぼありません。
人を助ける前に自分の安全確保を最優先
血液を触ってしまった女性は、とても優しい人だったと思うんです。
でも応急処置の鉄則として「自分自身の安全を確保する」というのがあります。
これは二次・三次被害を出さないためです。
誰かを助けたい。困ってる人を助けたい。
という気持ちは素晴らしいですが、まずは貴方自身の安全確保を最優先してください。
どうかご安全に
これから忘年会・新年会シーズンです。
帰りの足元はご安全に。
そして、この記事を読んだ方はぜひ、周りの人にも「怪我をした時は、血液を触ってはいけない」ということを教えてあげてください。
ヨガインストラクター
青貝 夕子
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応急処置の知識がない方でも命を救う方法を書いています。
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